コロナ禍はワカバヤシ工務店に何をもたらしたのか。

こんな世の中になるなんて…多くの人がそう思ったであろう2020年も終わりに差しかかり、コロナ禍という言葉も聞き慣れてきました。
禍と言えばわざわい。有名なことわざ『禍を転じて福となす』コロナ禍がワカバヤシ工務店にもたらしたものは、この精神で『ピンチをチャンス』ととらえ、前向きに歩き始めたことです。

4月16日。日本経済に多大な影響を与えた政府による緊急事態宣言。大手ハウスメーカーからかかってきた現場の延期と中止の電話。思い返せば、この日が大きく舵を切り直すきっかけでした。 それは主人にとって、大きな決断を強いられることだったと思います。 その現実を突きつけられ、ワカバヤシ工務店の経営を存続させるために、元請けの仕事を増やすよう方向転換することになりました。

その決断を受けて、私は「大工の嫁として、できることはないだろうか」と考えました。
「お家のことで困ってることはないですか?」
「困った時にはどうやって業者を探しますか?」
カフェで隣り合わせになったお客さんに、仲良しのお店の店主さんに、高校時代の同級生に、普段はSNSでしかつながっていない後輩に、まだ一度もお目にかかったことのないSNSつながりのママさんに・・・私は片っ端から聞きました。
結果、みんな何かしら困っていてもどうやって探せばいいのかがわからないことが、わかりました。それは主人が時々口にする「現場でお客様から誰に頼めばいいかわからない」と同じでした。

そもそもワカバヤシ工務店のWebサイトを作った理由は「家のことで困ったとき、どこに相談すればいいかわからないお客様の相談窓口になろう」でした。 それが機能していない事に気づけたのもコロナ禍がきっかけです。もちろん全く考えていなかったわけではないのですが、当時と今とでは、熱量が比べものにならないと思います。

「うちらの世代は探しものをするときにネットで検索しようと思うけど、親世代にそれは無理やわ。」 「例えばガス屋さんが定期的に点検に来てくれて、その時にもらった名刺やチラシを思い出したりして、困った時には電話してるみたい」 前出の同級生は、そう教えてくれました。 また「家に入る業者がどんな人かわからないのが怖い」という意見もありました。

そうか、だったら思い出してもらう努力をすればいいんじゃないか。幸い、下請けの仕事で伺ったことのあるお家はたくさんある、しかもみんな大工の主人のことを知ってくれている。オール白髪で眉毛の濃い特徴ある顔を、たぶん結構な確率で覚えてくれているはず。そこでなにかしらアプローチしていこうと考えました。

こうして9月に初めてニュースレターを出しました。

ニュースレター
そこから始まったワカバヤシ工務店のリスタート。 なんとニュースレターを投函した次の日に電話がかかってきました。 「家の窓のことで相談があるんだけど。ちょうど今日ポストにこれが入ってたから・・・」と! 私は耳を疑いました。え??もう、かかってくる?そんなうまいことってある? 反響の都合の良すぎるタイミングからすると、みなさんお家のことで悩んでおられたようです。
「小さい工事になるかもしれないし、これだけのためにハウスメーカーに電話するのもなぁ」「でも若林さんなら前にも来てくれたことあるし、相談にのってくれるかもしれんから電話してみよう」 要約すると、そんな感じでかけてきてくださったのでした。

きっかけはニュースレターだけではなく、あらかじめ作っておいた看板やリーフレットも活躍しました。
看板
工事現場に置いていたおかげでお客様から声を掛けてもらってお客様のもとへ伺い、住まいでのお困りごとについてお話を聞くことになりました。主人と同行とはいえ事務方の私が、知らない方のもとへ伺うのは初めてで少々不安でした。ですが、お客様は女性の私が一緒だったことに安心してくださったので思い切って同行して良かったです。
先方のご希望は壁紙の貼り替えだったため、早速メーカーショールームへ壁紙を見に行く話になりました。前回の記事「ショールームご同行」でも書いたように、メーカーのコーディネーターさんからアドバイスを頂きながら女性同士で楽しく壁紙を選ぶことができました。

今までは事務方で現場にでることはなかった私ですが、こうして少しずつお客様と直接かかわるようになってきました。それがお客様と大工職人の仲を取り持つ緩衝材になるようで、専門用語をわかりやすく伝えたり気軽な会話を楽しませてもらったりしています。今後もお客様の立場を心がけ、工務店関係者というより消費者の感覚で、お客様の住まいの困りごとの解消に役立てるよう、楽しみながらも努力します。

今の私があるのはコロナ禍の影響も大きいですが、ある方が私たちの活動や在り方に対して向き合ってくださったお陰でもあります。 ボリュームの都合で割愛しますが「私一人の力で色々やってみたわけではないですよ!」 これだけはどうしても書いておく必要があると思いました。これについてはまた別の機会に綴ってみます。

 

この投稿は、情報発信の稽古場「ASURA Workout」で出された“私にとって●●だった2020年、来年は●●な一年にしたい”というテーマに沿って書かれたものです。

 

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