「暮らしのお悩み相談会」改め「暮らしのお悩み相談室」が、お陰様で2周年を迎えました。
これもひとえに、貴重なお店の一角をお借りしているトースターさん、お店の常連さん、そして来てくださる相談者のみなさんのお陰です。本当にありがとうございます。
今日は「暮らしのお悩み相談室」を続けてきて、いちばん盛り上がるお客様の生の声をお伝えします。少々手荒な書き方になりますが、大目に見てやってくださいませ。
大前提として、みなさんリスペクトありきでお話くださっています。プロとしてリスペクトしているからこそのご意見です。
「そもそも工務店のおじさんって、なんであんなに話が通じないの?」
◆センスがない
「私もセンスがあるとは思ってないけど、でも服とかインテリアとか見たら『あー、こういう系統が好きなんだな。じゃあ、モダンなのがいいかな』とか提案のひとつもしてもらえなかった」
「壁紙を選ぶときのこと。自分の好みで選んだものがいい感じなのかどうか一緒に考えてほしいんだけど、壁紙は白でいいじゃないと言うおじさんには相談できない」
◆家事経験に乏しい
「家事は女性がやって当たり前の世代が多いから、水回りは手入れが楽なものがいいとか、収納は下方は引出し、上は下ろせると便利とか、家事動線とか、そういうのに無頓着なうえに思いやりもない」
「普段家事をやり慣れていない人には、家事のストレスは伝わりにくい」
「とにかく排水口の掃除が楽なものがいいの。キッチンメーカーの排水口がどうなっているか実際に見たいけど、おじさんとショールームに行ってもねぇ」
◆商品知識が少なすぎる
「『TVでこういうの見ていいな、と思ったんですけど、どうですか?』と聞いても、『へー、そんなのあるんですね』で、そもそも知らないし、調べようともしない」
「キッチンと洗面所の間に間仕切りが欲しいと言ったら、工務店のおじさんにアコーディオンカーテンを勧められたの。いつの時代の話なの?ないわー。別のおじさんが引き戸を提案してくれたからまだ救われたわ」(アコーディオンカーテンに非はないです)
こういうお話、何人もの方からお聞きしました。そのたびに、私は大きくうなずきながら聞いています。
そして工務店側として一番耳が痛いのは・・・
「何より、どれも『知ろうとする』気持ちや勉強する姿勢があれば、ある程度は身に付くだろうに、それをしない、そもそも必要だと思ってない感をかもし出してるのが、いちばん嫌なのかも…」
「ひとつひとつの不具合や不満に向き合うというよりは、『キレイになったらいいやろ、壁は白やろ』と、『たくさんある案件の中のひとつをこなしているだけ感』があるのも好きじゃなかった」
私は工務店側の人間ですが、おじさんではありません。工務店経営者(大工)の妻です。相談者のみなさんと同じように、日々仕事をしながら家事もやっています。
工事のプロ≠家事のプロ
工事のプロである工務店のおじさんは、家事のプロではないことが多いです。
「家事もやってるから、奥様方のお気持ちはよくわかりますよ」というおじさんもいるかもしれません。ですが、私は今までにそういう工務店のおじさんに出会ったことはありません。
うちの「暮らしのお悩み相談室」に来られる相談者さんは、家事のプロの女性がほとんどです。
そんな彼女たちは、似た立場の私に日頃の思いを話してくださるのです。
私はそういう女性のみなさんのお気持ちをかみ砕いて、工務店のおじさん(大工の主人)に伝えています。
あるある!実際のやりとり現場
◆Aさんとのやりとり
Aさん「キッチンカウンターの幅が広すぎるので、10センチくらいの幅に切ってほしいです」
おじさん「切ったらモノが置けなくなりますよ」
Aさん「置く場所があるからついつい物が出しっぱなしになってごちゃついて嫌なんです。」
わたし「そうですよね。うちのカウンターも薬やコップのチョイ置きで結局埋まってしまってます。本当はそこで朝ごはんくらいは食べようと思ってたのに、今は物置と化してます」
おじさん「切ったら切り口をどうするかとか考えないと・・・」
Aさん「かわいいタイルを貼ったり、DIYします。カウンターは自分では切れないのでお願いしたいんです」
実際に切った結果、Aさんは「すっきりして視界も広くなった」ととても満足されていました。切り口は意外ときれいだったのでそのまま使っておられます。
◆Bさんとのやりとり
Bさん「キッチンの手元のライトをおしゃれなペンダントライトにしたいんです」
おじさん「そのままでも明るいからいいんじゃないですか?電気工事が増えて金額がかさみますよ」
Bさん「それはそうなんだけど、今のは建売を買った時のままで自分の好みじゃないんですよ」
わたし「うちも替えたいんですよ。もちろん今のライトでも十分明るいんだけど、デザインが替わるだけでテンション上がるんですよね。毎日何度もその前に立って家族のためのご飯を作ってるんだから、気分良くいたいですしね。それに、好みだって年月とともに変わってくるし」
おじさんの心の声(俺にはわからんけど、楽しそうやね・・・)
工事の技術的なことや段取りは、もちろん工事のプロの工務店のおじさんにお任せください。
私が言うのもなんですが、若林大工は気さくな性格でお客様からは「工事中のモヤモヤをため込まずに話しやすい」と評判です。
でも、掃除のしやすさや使い勝手、インテリアの好みのことなどは、やはり女性同士が分かり合えることが多いです。好みが似ていれば、イメージはより具体的に伝わりやすいと思います。
伝えてもらったイメージを形にするにあたって、イメージ通りできることもあれば、技術面やコスト面で無理が出てくることもあります。そんなときは、きちんと理由を説明して、代替案をお伝えします。その上で、お客様にどうするかを決めていただきます。
このようなやりとりを積み重ねていくことで少しずつ「通じない」が「通じる」に変わっていくと信じて日々お客様と接しています。
また、工務店の社長と従業員という立場を超えて、夫婦だからこそ、大工の妻だからこそ突っ込んで言えることもあります。そういう点では、お客様にとって特に女性にとっては夫婦でやっている工務店の強みであると考えています。
3年半前にはこんな気持ちでいました ⇒ 大工の家に嫁いで良かったこと
暮らしのストレスは、人それぞれ違いますし、違って当然です。私も同じように日々ストレスを感じながら暮らしています。だからこそ、相談者のみなさんの味方でいたいと思っています。
「工務店のおじさんにはちょっとね~」という方にも「暮らしのお悩み相談室」をご活用いただいています。
神戸近郊の方で同じようなお気持ちの方、ぜひ一度「暮らしのお悩み相談室」へお越しください。日々のストレスが楽しみにかわるアイデアを一緒に考えましょう。
ワカバヤシ工務店の「暮らしのお悩み相談室」とは ⇒ 暮らしのお悩み相談室