今日は国の補助金のことで感じていることを書きます。
国の補助金制度で「こどもみらい住宅支援事業」が始まっています。
原油価格・物価高騰による住宅価格上昇への対策として、
子育て世帯等による省エネ住宅購入支援等を継続的に実施する観点から、
交付申請期限の延長等が決定されました。
契約と交付申請の期限はリフォームに関しては2023年3月31日までです。
ワカバヤシ工務店では主にリフォーム工事を承っているので
ここではリフォーム工事に関して書いていきます。
率直に申し上げて、この補助金は本当にリフォームしたい人のための補助金なのだろうかと疑問に思っています。
理由は、リフォーム工事の補助額が5万円に満たない時は申請できないことになっているからです。5万円の補助額にしようと思うと結構なボリュームの工事をしなければなりません。
これらの工事が実際にしたいと思う工事であれば、この制度はとても有効なものになります。
そうでない場合は、「なーんだ、もらえないのか」と期待外れになってしまうかもしれません。
具体例をお話します。
先日、お客様から「トイレのリフォームをしたいのだけれど、補助金制度を使って少しでも自己負担を少なくしてリフォームができるのであれば検討したい」との問い合わせがありました。
トイレのリフォームではまずトレイ本体の交換が考えられます。
今回の補助金制度では
・節水型トイレ(掃除しやすい機能を有するもの)が1台につき19,000円
・節水型トイレ(掃除しやすい機能を有するもの以外)が1台につき17,000円
の補助額です。
トイレ本体の交換だけでは補助額が5万円には満たないので申請ができません。
お客様は「家電店で補助金の文字を見かけた」とおっしゃいました。
私もホームセンターで「こどもみらい住宅支援事業の補助金制度を使ってお得にリフォーム」というポスターを見ました。
私は「このポスターを見た人はきっと補助金がもらえるかもと期待するよね」と思いました。
お客様もきっと期待されたと思います。私もこの制度のことを深く知らなければ同じことを考えたでしょう。
しかし、実際にはトイレ本体の交換だけでは、上記のように決めれられた5万円という補助額には満たないため申請することができないのです。
もし、仮にトイレのリフォームで5万円の補助額にするための工事をするとしたらどんな工事があるかを考えてみました。
・節水型トイレ(掃除しやすい機能を有するもの)に交換・・・19,000円
・トイレ内手洗い水栓を節湯水栓に交換・・・5,000円
・トイレと廊下の段差解消・・・6,000円
・トイレ内手すり設置・・・5,000円
・トイレの入口を車いすが通れるように広げる・・・28,000円
これで68,000円になり、5万円を超えるので補助金申請ができます。
これだけの工事をお客様が望んでおられるとしたら、この補助金はとても有効だと思います。
ですが、トイレ本体だけを交換したいという人にとって、補助金を申請するために必要のない工事をするというのはどうなのでしょう。
少なくとも、当方では補助金のためにあれもこれもとこちらからおすすめすることはありません。
運よくこの制度を活用されるお客様もいらっしゃいます。
お風呂から水漏れしたためにお風呂を新しくされる方です。
この方のお風呂は、浴室と脱衣所に段差がありました。
お風呂をユニットバスにすることで、その段差は解消されます。
給湯器も古いものから新しいものに交換します。
補助額を計算してみました。
・高断熱浴槽・・・・24,000円
・節湯水栓・・・・・5,000円
・高効率給湯器・・・24,000円
・段差解消・・・・・6,000円
・浴室内手すり設置・・・5,000円
これで64,000円になり、補助金申請ができます。
この方の場合は、余分な工事はひとつもなく必要な工事だけで補助額の5万円を超えました。
こういう事例だと、補助金はとても有効です。ですが、補助額にこだわって必要のない設備をつけたり、不要な工事をしたりすることのないように、気を付けてほしいと思います。
ワカバヤシ工務店では、お客様の暮らし方に添った「本当に必要な工事」「一番現実的な提案」をご案内しております。
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